新潟県村上市で最大震度6強、山形県鶴岡市で同6弱を観測した山形県沖を震源とする地震。地盤の揺れなどを調査する地域微動探査協会の事務局長を務める横山芳春氏は、2019年6月18日の地震発生後すぐに現地入りして地盤や構造物の被害状況を調査している。横山氏が撮影した写真とともに被災地の様子を速報する。
横山氏は新潟県から青森県に至る国道7号を車で北上して新潟県村上市府屋地区に立ち寄った。集落では、倒壊したブロック塀を数カ所で見かけたと言う。ちょうど1年前の大阪府北部地震ではブロック塀の倒壊に女児が巻き込まれて死亡する事故が発生した。避難路沿道にあるブロック塀などを耐震診断義務化の対象とするため、政府は改正耐震改修促進法施行令を19年1月に施行したが、全国に浸透するにはまだ時間がかかりそうだ。
横山氏は府屋地区について、「在来工法の古い民家が多く、屋根瓦が落下している住宅は見かけたが、『全壊』や『半壊』の建屋は見当たらず『一部損壊』ほどの被害が多いように見えた」と説明する。「同じような被害を受けた集落を国道7号の沿線でよく見かけた」(横山氏)と言う。実際、国道7号沿いの山形県鶴岡市小岩川地区でも屋根瓦が崩落した民家を確認している。
鶴岡市の市街地は築浅の民家が多いこともあり、大きな被害を受けた建物はそれほど見かけなかったと言う。JR鶴岡駅南口近くの駐車場では止まっていた乗用車のタイヤが半分ほど水に漬かっていた。横山氏は「液状化だ」と断じる。「現場で丘状に土砂が噴出する『噴砂丘』を確認した。地盤の液状化で見られる現象だ」
横山氏は、鶴岡市内でかつて川だった地盤が弱いと推測される地域を確認したが、液状化を確認できなかった。「18年9月の北海道胆振東部地震でも広い範囲で液状化が確認された。鶴岡市内では4カ所ほどで液状化が発生したと聞いたが、それ以外にも人目につかない場所で液状化が発生している可能性がある」と横山氏は話している。