山形県沖で2019年6月18日午後10時22分に発生した地震は、新潟県村上市で最大震度6強、山形県鶴岡市で震度6弱を観測したものの、今のところ死者や家屋の全壊は報告されていない。その理由について、筑波大学大学院システム情報工学研究科の境有紀教授は「発生した地震動は0.5秒以下の極短周期成分が大きかった一方、建物の大きな被害に結び付きやすい周期1~2秒の成分は小さかったからだ」とみる。
防災科学技術研究所が運用するK-NETやKiK-netと呼ばれる強震観測網のうち、震央から北東に8kmほど離れた鶴岡市内にある観測点「K-NET温海(あつみ)」では、南北方向に633ガル、東西方向に571ガル、上下方向に214ガルの最大加速度を記録。3成分合成値では、K-NETとKiK-netの観測点の中で最も大きい653ガルとなった。
地震動の波形から速度や加速度の応答スペクトルを分析すると、周期が0.5秒以下の成分が卓越していることが分かる。
極短周期の地震動は、家具やブロック塀の転倒、屋根瓦のずれ、落下といった被害を招きやすい。今回の地震で揺れが強かった地域では、実際にこうした被害が相次いだ。対して、木造住宅などに大きな被害を与える「キラーパルス」とも呼ばれる周期1~2秒の成分は、比較的小さかった。