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チームのフォーメーションで予定調和を打破

田根さんの拠点であるパリの事務所はどんな体制ですか。

 現在、人数は30人くらい。多国籍のインターナショナルな環境の中で、考え方をどんどん動かしていくためにもポジションチェンジは頻繁にやっています。

 それぞれの人の適性はあるので、そこで専門性を発揮するのもよいと思います。しかし、固定化していくと成長が停滞したり、緊張感を持ちにくくなったりするので、わざとポジションを入れ替えたりします。

 事務所の人員配置をサッカーのフォーメーションのように考えているのかもしれません。メンバーがどういう組み合わせだと、そのプロジェクトが予定調和に陥らないかを重視しています。プロとして重要なことは経験だけでなく、結果が全てなので、そのプロジェクトでどれだけパフォーマンスを上げられるかです。

 このモチベーションならこのプロジェクトがよいかなとか、頑張っているスタッフがチャンスをつかめるように、いろいろと工夫しています。ただし、建築をしっかりつくることが大事なので、スタッフの組み合わせとバランスは毎回考えています。

30人を超えた多国籍のスタッフとともに、新しい事務所への移転を準備中。19年7月に移る予定(写真:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
30人を超えた多国籍のスタッフとともに、新しい事務所への移転を準備中。19年7月に移る予定(写真:Atelier Tsuyoshi Tane Architects)
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サッカーで例えると、田根さんの事務所内での役割は何ですか。

 Jリーガーを目指していたころは、攻撃と守備の起点となるボランチでしたが、今は選手兼監督と言えるでしょう。自分で動きながら考え、一方で全体のスタッフのバランスを取ったり、マネジメントをしたりする。基本的には全体を俯瞰(ふかん)しながら、現場に飛び込むようなことをやっています。

日本でのプロジェクトが増えていますが、ローカルアーキテクトと協働していく形ですか。

 これまでパリを拠点に海外事務所と協力してきた経験から言うと、日本に限らず国外は基本的にローカル事務所との協働がいいと思っています。法規や現地での製作に関することなど、それぞれのローカルアーキテクトの方が圧倒的に知識がありますから。ただし、現場が始まったら、スタッフを常駐で配置することも今後は考えていきます。

 現在、日本の常駐スタッフは4人です。日本のプロジェクトが多いので、もっと増やしたいですね。実施設計ができ、規模が大きなプロジェクトから展覧会などの仕事まで柔軟に対応できる、大手の設計事務所などで一定の経験を積んだ日本人スタッフを募集中です(笑)。