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ロボットが建築をつくる時代の先駆けとして、竹中司氏は、職人技をデジタル情報に置き換える形で、ロボットの技能育成に取り組んでいる。
2005年、教壇に立っていたカナダのブリティッシュコロンビア大学で3D(3次元)プリンターに出合い、「画面の中のものが、手に取れるようになった。時代が変わる」と感動を覚えた。「設計の概念を拡張し、次世代の道具を使って建築を変えていこう」と09年にアンズスタジオを設立。人間の脳の働きを拡張したアルゴリズム(手順の定式化)や最適化を用いて設計する方法論をコンピュテーショナルデザインと名付け、デザインエンジニアとして活動を始めた。
多くの建築家と協働し、複雑な情報を形態化してきた。その代表作の1つが岩手県釜石市の「釜石市民ホール」(2017年完成、設計:aat+ヨコミゾマコト建築設計事務所)だ。
ホールの中に、どのような反響板があれば良い音環境になるかを、アンズスタジオで解析して形状を求めていった。音の動きを解析できる技術が生み出す、これまでにない空間形状への挑戦だ。