愛知県岡崎市による「乙川リバーフロント地区公民連携まちづくり基本計画(QURUWA戦略)」では、市のアドバイザーとして建築家の藤村龍至氏(東京芸術大学准教授)、水都大阪で知られる都市プランナーの泉英明氏(ハートビートプラン代表)、清水義次氏(アフタヌーンソサエティ代表)らが名を連ねる。この座組みをサポートしたのが、「NPO法人岡崎まち育てセンター・りた」だ。
りたの事務局長を務める天野裕氏は、同NPO法人の役割を「住民と行政、専門家が垣根を越えて地域の資源を掘り起こし、使いこなすための触媒」と話す。
大学でまちづくりを学んだ天野氏と三矢勝司氏が中心となり、りたは創設された。ともに岡崎市出身で小中学校の同窓生。「地元岡崎でまちづくりをやりたい」と、1999年につくった自主組織「岡崎CDC研究会」が前身となる。CDCは、米国各地にあるまちづくりNPOにちなんだ名称だ。
手弁当で公園の使い方を提案する住民ワークショップなどを開く活動が功を奏し、東西南北に整備される地域交流センターの運営や行政と市民をつなぐ中間支援を担う組織として、2006年に新たにNPO「りた」を発足。名称には「利他」という意味が込められている。
代表的なプロジェクトが、08年に開館した「岡崎市図書館交流プラザLibra(りぶら)」だ。中心市街地の活性化や新時代の図書館づくりなどの課題に対し、構想・計画・運営の各段階で、市民と行政をつなげるワークショップなどを企画・コーディネートした。
その過程で、市民が生涯学習イベントや託児サービスなどを担う「りぶらサポータークラブ」が誕生。「岡崎では公共施設運営の手法として、市民参加が常識になった。行政任せではなく、市民自ら公共の担い手となり得ることを証明できた」と天野氏。人口38万人の市で、年間で延べ100万人の入館者目標に対して、開館10年を経た今も毎年140万人以上が訪れる。