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 新CEO(最高経営責任者)と新社長が同時に誕生する、米IBMの108年にわたる歴史の中で初のトップ人事だ。2020年4月6日付でアービンド・クリシュナ上級副社長がCEOに、米レッドハットのジェームス・ホワイトハーストCEOが社長に、それぞれ就任する。IBMは2019年7月に340億ドルを投じてレッドハットを買収し、それ以降はホワイトハーストCEOがIBMの上級副社長を兼務していた。

技術系幹部が初めて経営トップに

 クリシュナ氏は基礎研究部門のトップも務めたエンジニアで「クラウド&コグニティブソフトウエア部門」担当としてレッドハット買収を指揮した。IBMのトップに技術キャリアの人材が就くのは初めてである。一方のホワイトハースト氏はレッドハットCEOの前はデルタ航空のCOO(最高執行責任者)として営業・サービス・マーケティング・戦略を担当。ボストンコンサルティンググループ(BCG)のパートナーを務めた経験もある。

 テクノロジーマネジメントがカギを握る時局を鑑みると、クラウド担当とオープンソース担当がタッグを組むことで今後のIBMのビジョンや戦略に一貫性が期待できる。IBMに30年勤続するクリシュナ氏とIBMの歴史にとらわれないホワイトハースト氏のタッグによってIBMを根底から変えるアイデアが出てくるかもしれない。

 ハイブリッドクラウド事業と基礎研究部門を担当していたクリシュナ氏はハイブリッドクラウドとマルチクラウドの到来をにらみレッドハットに白羽の矢を立て、2018年10月の買収合意を導いた。その2年前の2016年からIBMは「戦略的強化分野」としてアナリティクスやクラウドなど6分野を選定し、強化を図ってきたが、2017年後半から成長スピードが落ちていた。次なる戦略が求められ、クリシュナ氏がレッドハット買収を提案した。

 IBMは2019年初めにビジネスユニットを再編し、レッドハットの受け皿となるクラウド&コグニティブソフトウエア部門を発足させ、クリシュナ氏が担当となった。一連の動きは米マイクロソフトが2014年にクラウド技術部門を率いてきたエンジニア出身のサティア・ナデラ氏をCEOに起用したのに似ている。