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 2020年6月末、スーパーコンピューターの性能ランキングTOP500が発表された。富士通製「富岳」がLINPACK性能で1位を獲得し、トップ10に4機種が新たに加わるなど波乱模様だ。しかし500位まで見渡すと新規システムの数は最低で、トップエンドに開発予算が偏りがちだと分かる。米AMDや英アームの台頭など、スパコン開発のトレンドは変貌しつつある。

 TOP500は歴史的に順位争いが激しかった。筆者の調べでは1993年6月から年2回(6月と11月)のペースで始まったTOP500ランキング55回の中で、トップ10の順位が2回連続で全く同じだったことは3度しかない。トピックを添えて振り返ると以下の3つだ。「①2011年6月と同年11月:富士通製『京』が連続1位」「②2013年11月と2014年6月:中国国防科学技術大学(NUDT)製『天河(Tianhe)-2A』が4連続1位」「③2019年6月と同年11月:米IBM製『Summit』と『Sierra』が1位と2位を3回連続で独占」。

 つまり2019年は珍しく上位の変動がない年だった。さらに2019年11月に続く今回の2020年6月は、トップ500から脱落したシステムが過去55回で最も少ない51に留まった。この新旧入れ替えを業界では「リフレッシュ率」という。今回6月のTOP500はリフレッシュ率が10%と記録的に低かった一方で、トップ10に限ると富岳を含め4システムが新たにランクインしたことになる。このちぐはぐな現象は、今がスパコンにとってダイナミックな変化の時期にあることに起因する。ワークロードの範囲が科学技術計算やシミュレーションから拡大し、人工知能(AI)やデータ分析が含まれるようになった。例えば直近6月で7位に入った米エヌビディア製「Selene」はAI専用スパコンとの評だ。