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 「アービンド・クリシュナを後継者にしたバージニア・ロメッティの決定が、ジョン・オペルを指名したフランク・ケアリーのそれと正反対であることを祈っている」。日本IBMのあるOBはこんな話をする。

 ケアリー氏は米IBM歴代8人のCEO(最高経営責任者)の中で、最も高い売上成長率を達成した。同氏の9年間の平均成長率は16.9%。直前のトーマス・ワトソン・ジュニアCEOの16年間の平均を0.2ポイント上回った。

 ケアリー氏がCEOに就任した1972年に日本IBMへ入社した前出のOBは語る。「ケアリーはIBMを成長させ、ほとんどの点で模範的だったが、後継者選びの一点で失敗した。後任のオペルが時代の変化を読めず無策だったところからIBMの衰退が始まった」。オペル氏は1982年の売上高344億ドルが1990年に1000億ドル、2000年は5000億ドルになるとぶち上げたがCEOとしては4年の短命に終わった。

 一方、前CEOのロメッティ氏は「ケアリーとは好対照、CEO在任8年間で年間売上高を28%、純利益を41%、市場価値(時価総額)を44%それぞれ減少させた」という。ほとんどのことをうまく運べなかったが「後継者の選択だけは正しかった」となることをこのOBは期待している。

 それではIBMのクリシュナCEOの動きはどうか。2020年1~3月期決算を発表した4月20日、経営方針と戦略を披瀝(ひれき)した。CEOに就任してからわずか2週間後だったがCEO交代は1月30日に発表されていたので、そこから数えると82日目となる。