米IBMが2021年1月1日付で従来の4事業部門を「テクノロジー」「グローバル・ビジネス・サービス(GBS)」「グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)」の3事業部門に改組した。同社は2カ月前の2020年10月、GTSにあるマネージド・インフラストラクチャー・サービス(MIS)事業をスピンオフ(分離・独立)させると発表したが、今回の改組はそれに伴う動きとみてよい。アービンド・クリシュナCEO(最高経営責任者)は「スピンオフによって数年後に年間5%前後の成長を実現する」としている。
新設するテクノロジー部門には、クラウドやAI(人工知能)など成長技術を担う「クラウド&コグニティブ・ソフトウエア(レッドハット事業含む)」、サーバーやストレージとOSを扱う「システムズ」、旧GTSのハード保守事業(TSS)を集めた。GBSは従来同様、コンサルティング、システムインテグレーション、アプリケーションとビジネスプロセスのアウトソーシングを手掛ける。TSSを分離した新GTSが「2022年1月1日付で設立するサービス新会社となる」(日本IBM広報)。
暫定的にNewCoと呼ばれる新会社はMISとITアウトソーシングが主力事業だ。顧客のインフラストラクチャーの管理とモダナイゼーション、ホスティング、ネットワークサービス、ハイブリッド・マルチクラウド環境への移行・管理、サービス管理などを請け負う。インフラのモダナイゼーションは主に、クラウドネーティブインフラへのアップグレードになる。
新3組織の事業規模の比率を2019年度売上高に基づいて計算すると、テクノロジーが49%、GBSが22%、新GTSが27%となる。米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院のマイケル・クスマノ教授は新GTSの分離について「IBMの将来の姿は、より小さな会社であり、よりニッチなテクノロジー企業である」と米ニューヨーク・タイムズにコメントした。半世紀以上も言われ続けたIBMの通称「ビッグブルー」は死語となりそうだ。