全1192文字
PR

 「パットは必ずインテルのCEO(最高経営責任者)になる」。NECの取締役でExpress5800サーバー担当だった小林一彦氏からパット・ゲルシンガー氏をこう紹介されたのは、確か1999年のことだった。それだけに10年後の2009年、米インテルで「ミスターx86」と呼ばれ、デジタルエンタープライズ事業本部長を務めていたゲルシンガー氏を米EMC(当時)が引き抜き、社長兼COO(最高執行責任者)に就任させると発表したときには驚いた。

 だが話はそこで終わらなかった。ゲルシンガー氏が2021年2月15日付でインテルに11年半ぶりに戻り、8代目のCEOに就任すると1月13日に発表された。翌朝インテルの株は12%も急伸し、終値も7%増だった。CEOの座を明け渡すロバート・スワン氏は退任発表でインテルの時価総額を250億ドル(約2兆6000億円)も増やした。

米インテルの次期CEO、パット・ゲルシンガー氏
米インテルの次期CEO、パット・ゲルシンガー氏
(2017年5月に日経クロステック撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 スワン氏が暫定CEOを含めて指揮を執った2年半、インテルの業績が目立って悪化したわけではない。2020年1月付の米ガートナー調査によると、インテルは2019年の半導体売上高で3年ぶりに首位を奪還した。ただし新製品開発計画の延期、米アップルの離反があり、インテルが半導体のリーダーとは言いにくくなった。

表 米インテルのデータセンター事業の収益増減率
サーバー向け事業は乱高下
表 米インテルのデータセンター事業の収益増減率
[画像のクリックで拡大表示]

 財務出身のスワン氏はインテルが技術関連の問題に直面している時期にCEOに起用された。今のインテルは技術のリーダーを必要としており、インテルのオマール・イシュラク会長は「それをゲルシンガー氏に期待する」と発表文で述べた。