全1064文字
PR

 「バックログ(開発の積み残し)に助けられているが、パンデミックが収束した後の数年間、国内のITサービス市場は縮小し、企業の倒産が増えることは間違いない」。GCAの池田和明マネージングディレクターはこう話す。

 2004年創業のGCAはM&A(企業の合併・買収)専門のアドバイザリー企業。池田氏によると、世界規模の経済危機が起きた場合、危機の収束後も数年間はITサービス企業の倒産件数が高止まりする傾向があるという。

 国内ITサービスの売上高推移や情報通信業の倒産件数に目を向けると確かに池田氏が指摘する通り、2008年のリーマン・ショックが起きてからの数年間、売上高の減少と倒産件数の増加がみられた。国内ITサービス全売上高の約6割を占める「システムインテグレーション(SI)を含めた受注ソフトウエア」は2009年から3年連続してマイナス成長だった。SIを含めた受注ソフトウエアの売上高が2008年(6兆7800億円)の水準に戻るまでに9年を要した。情報通信業では2007年の倒産件数を2008年から2014年の7年間、上回り続けた。

図 経済危機と国内情報通信業の倒産件数
図 経済危機と国内情報通信業の倒産件数
危機の影響は1~2年後に顕在化(出所:東京商工リサーチ、経済産業省特定サービス産業動態統計調査)
[画像のクリックで拡大表示]