コロナ禍の後も同じことが起きる恐れがある。すでにコロナ禍の影響を受けた2020年のSIを含めた受注ソフトの売上高は前年比2.6%減になった。一方2020年の情報通信業倒産件数は22.1%減で2021年以降が注視される。
市場縮小、倒産企業増を業界再編や構造改革の好機とみる向きもある。池田氏は「M&Aを活用した業界再編や戦略的な事業売却が増えるはず」と話す。
ITサービス1位の富士通が国内業界の慣習だった多段階構造からの脱却を決め、2位のNTTデータも追随する動きを見せる。富士通は4月1日付で2次請けだったITサービス子会社15社を元請けの富士通と富士通Japanに吸収した。今後は元請け会社がインドなどにあるオフショア子会社を使って開発する「デリバリー改革」を徹底していく。これまではFSA(富士通系ソフトウェア業グループ)に所属する175社に開発を再委託することが多かったが、半世紀の歴史を持つFSAに向けた蛇口が閉まるのは避けられない。FSA正会員の総売上高は約4000億円ある。
FSA所属企業が典型だが、中堅・中小規模のITサービス企業は創業者の引退・後継者問題、従来型受託開発要員のスキル転換問題に直面する。
「外資系コンサルティング企業が買い手として名乗りを上げている。彼らはスキル転換教育まで踏み込める。一般の大企業もITサービス企業を欲しがっている」(GCAの池田氏)。
