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 近い将来の最高経営責任者(CEO)だと期待されたジム・ホワイトハースト氏が3カ月前、就任わずか14カ月で米IBMの社長を辞した理由はいまだに不明である。同氏は米レッドハットをIBMが買収した際、レッドハットCEOからIBM社長に移っていた。

 100年を超えて存続する長寿企業IBMにある暗黙のルールから推測してみよう。CEO就任に関して例外はあるものの「就任年齢は51~54歳」「定年は60歳」という暗黙ルールがある。

 ワトソン創業家と現在のクリシュナCEOを除く7人のCEO経験者のうち、ケアリー、エイカーズ、ガースナー、パルミサーノの諸氏はルール通り。例外はリアソン氏とオペル氏の就任年齢(58歳と56歳)、ロメッティ氏の退任年齢(62歳、ほぼ63歳)。

 ホワイトハースト社長の人事はワトソン・ジュニアからリアソン、ケアリーへの引き継ぎに似ているところがある。ワトソン・ジュニアの自伝『IBMの息子』(1990年刊)によると、心臓発作を起こしたジュニアは57歳でCEOを退任し、58歳だが老練なリアソンに60歳までCEOを務めさせた。18カ月後、リアソン氏は本命のケアリー氏に禅譲した。

 ロメッティ氏は後継CEOの本命をホワイトハースト氏とし、2019年7月のレッドハット買収完了時にCEO直属の上級副社長に据えた。ただし買収で功績があったクリシュナ氏を無視できず、2020年4月の退任時に57歳のクリシュナ氏をCEOに、52歳のホワイトハースト氏を社長にした。