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 2006年、IT業界人がこぞって手にしたのがグローバル化を説いたトーマス・フリードマンの著書『フラット化する世界』(原題はThe World Is Flat)だった。このテーマの伝道師の1人が米IBMのサミュエル・パルミサーノCEO(最高経営責任者)であり、米外交戦略を動かすとも言われる外交問題評議会の機関誌Foreign Affairsに、多国籍企業からグローバル企業に変身するIBMの戦略を「グローバルに統合された企業」と題して寄稿した。

 だが同じ2006年、IBMはIT売上高首位の座を企業買収で太った米ヒューレット・パッカード(HP、当時)に奪われた。そして米アマゾン・ドット・コム傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)がクラウドによるストレージサービスを開始したのも2006年だった。新参者だったAWSは15年間でIT産業のルールを書き換えてしまう。

 AWSはインフラ(IaaS)からプラットフォーム(PaaS)、ソフトウエア(SaaS)へと提供内容を着実に広げ、第一世代の王者IBMを踏みにじり、第二世代の王者米マイクロソフトをクラウド企業に変える“再起動”に追いやった。

 AWSは2020年に米オラクルを売上高で抜き、2021年には米シスコシステムズと米キンドリル分離後のIBMを追い抜いた。2023年には1000億ドルに到達し、ヴイエムウェアを分割した米デル・テクノロジーズを抜くだろう。2030年ごろまでには企業向けITトップのマイクロソフトと肩を並べ年商5000億ドル規模になると見込まれている。