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 「自らのキャリア形成を目的とするセルフプロデュース制度を拡大したのであって(高齢)人材の整理ではない。(退社人数などは)明確になり次第お知らせする」。富士通の磯部武司CFO(最高財務責任者)は2022年1月末、第3四半期決算発表の時にこう述べた。2021年11月から進めてきた、50歳以上の幹部社員や一般社員、再雇用者を対象とする早期退職プログラムを2月末に終え、3031人が応募。早期退職に関する650億円の営業費用を計上した。

米IBMを相手取り、年齢差別訴訟

 日本IBM出身のコンサルタントは富士通と米IBMを比べ、次のように述べた。「米国では40歳以上や高齢者を狙った職場異動や退職勧告は雇用の年齢差別禁止法(ADEA)違反となる。実際、IBMではアービンド・クリシュナCEO(最高経営責任者)が高齢社員の解雇に関与したということで裁判沙汰になっている。一方、日本では2007年改正の雇用対策法によって求人票への年齢制限記載が禁止されただけ。退職勧告などで年齢差別がまかり通っている」。

 米国では数百人の元IBM社員が年齢差別で解雇されたと主張し、IBMを相手に複数の訴訟を起こしている。関係している労働弁護士のシャノン・レオダン氏によると、潜在的な原告団は40歳を過ぎて2017年以降にIBMを退職した元従業員で約1万3000人に及ぶ。

 訴訟で明かされた訴訟申請書や証拠として提出された幹部間の電子メールのやり取りなどによれば、IBMの一部幹部は高齢社員を「絶滅(extinct)すべきダイノベイビー(dinobabies)」と呼び、退職計画を議論したという。

 計画についてはレオダン弁護士が裁判所に提出し2月11日に開示された複数の文書に詳述されている。それによるとIBMのある幹部は「デジタルネーティブな従業員を採用するために年配の従業員を追い出す全社的な計画」を知っていた。「全社的な計画」は米英のメディアによると2012年にジニー・ロメッティ氏がCEOに就任した直後から始まり、その後5年間で40歳以上の米国人従業員が2万人以上退職させられた。うち高齢者が約6割を占めた。