「日本の行政情報システムの調達の後進性を見かねたのか、黒船がやってきましたね」
こう話すのは大手コンサルティング会社の老練なITアナリストである。同氏が言う黒船とは、スイスに本部がある世界経済フォーラム(WEF)がまとめた「効率的で透明性の高い公共調達(Efficient and Transparent Public Procurement)」という報告書のことだ。
WEFは中立を旨とし、運営費は売上高50億ドル以上の1000社超が拠出している。ただし近年はテクノロジー企業が目立つ。
WEFの報告書はデジタル庁が2年目に入った2022年10月に出され、表紙には北半球の一部を衛星から俯瞰(ふかん)した写真が使われ、中央に大きく日本列島が写っている。「日本の公共調達を狙い撃ちにしたことが一目瞭然」とITアナリストは指摘する。実際、日本のIT公共調達の課題が詳しく述べられている。
デジタル庁は日本政府・社会のデジタル化を推進する本部として発足、中央官庁や地方自治体の情報システムのあり方を変革するとしている。WEFの報告書にはデジタル庁に対する期待が次のように書かれている。「ITについてはプロによる調達が求められており、それを担うのがデジタル庁である」。