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 国内ITベンダーの2019年4~9月期決算が出そろった。各社とも好調で、特にSCSKや日鉄ソリューションズ、日本ユニシスなどは売上高、営業利益とも前年同期比で2桁の伸びを記録している。減収減益となった日立製作所や富士通も、IT分野だけを見ると共に増収増益だった。

 各社の業績が好調なのは、主に基幹系システムの刷新などユーザー企業のシステム開発需要が旺盛だからだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めるためには、老朽化した基幹系システムの刷新が欠かせないとの認識がユーザー企業に広がっている。そうした強い需要に支えられ、ITベンダーは各社ともシステムインテグレーション(SI)事業が好調に推移した。

 NECのように「上期は想定を超える増益を達成できた」(新野隆社長)と明言するITベンダーもあり、このまま推移するとITベンダー各社の2020年3月期通期の業績が期初予想よりも上振れする可能性がある。ところが、NECをはじめ多くのITベンダーは業績予想を据え置いた。

 米中貿易戦争などの影響で景気に変調を来す恐れもある。業績予想を据え置くというのは合理的な判断だと思うかもしれない。だがITベンダーの意思決定の真相は別にある。

 例えば日本ユニシスの平岡昭良社長は次のように話す。「期末の業績は上振れする可能性があるが、あえて売上高を追わず、(サブスクリプション型サービスの立ち上げ・拡大など)構造改革を優先することにした」。

新規事業を育てられなかった歴史

 日本のITベンダーの収益を支えるSI事業は、人月の工数で料金が決まるため「人月ビジネス」と呼ばれる。売り上げを伸ばすにはシステム開発プロジェクトに投入する技術者を増やす必要があるが、今日のようにシステム開発への需要が強いと下請けITベンダーも含め技術者が足らなくなる。プロジェクトに投入する技術者を確保できなくなれば、SIの売り上げはそこで頭打ちとなる。