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 「NTTもいよいよ思い切ったか。それにしてもすごいね。あの人数を減らしたら、当社だとグループ会社の全社員がいなくなってしまうよ」。大手食品メーカーのCIO(最高情報責任者)は2019年11月のNTTの発表について、そんな感想を漏らした。

 NTTの発表は、国内外のグループ全社で使うERP(統合基幹業務システム)を欧州SAPの「SAP S/4HANA」に統合する内容だ。海外拠点は2021年度末までに、国内は2023年度末までに導入を完了させる。ERPの導入と併せて、サービスの申し込み受付から料金請求に至る一連のオペレーションを自動化するクラウド型の情報システムなども導入する。それに伴い、1万人規模のシステム運用担当者らが不要になるとした。

 食品メーカーのCIOはこの発表に時代の変化を感じたという。これまで多くの日本企業は業務ごとにシステムを開発し、ERPを導入しても自社の業務に合わせて多数のアドオンを作ってきた。最近ようやく日本企業の間でも、システム刷新に併せて業務を見直し、ERPなどの標準の業務プロセスを可能な限りそのまま利用しようという機運が高まってきた。このCIOはNTTの発表をその象徴と捉えたのだ。

 CIOが所属する食品メーカーも業務単位でシステムが乱立する状態だったが、数年前に業務改革を断行してERPを導入した。従来は1人のIT部員が平均で6つのシステムの保守運用を担っていた。システム刷新後は保守運用業務が大幅に減った。その結果、IT部員がデジタルサービス関連の企画開発などに携われるようになったという。

無用の業務から解放すべし

 業務改革を伴うシステム刷新は、経営の見える化や利用部門の業務の効率化など様々な効用がある。こうしたビジネスサイドの効用とともに見逃せないのが、IT部門の技術者の仕事を大幅に効率化できることだ。