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 経団連は2020年の春季労使交渉において新卒一括採用や終身雇用、年功序列を柱とする日本型雇用制度の見直しを提起するという。背景にあるのはデジタル化による産業構造の変化だ。

 日本型雇用制度が今の時代にそぐわなくなっているのは事実だ。「第四次産業革命」などと大仰な言葉を使うまでもない。今のデジタル化は過去の工業化に匹敵する影響を産業にもたらすのは、誰の目にも明らかだ。だからこそ多くの企業がビジネス構造を変革しようと、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。

 だが日本型雇用制度をそのまま維持している限り、AI(人工知能)技術者など優秀な若手人材を採用・育成できない。若手は給与を抑えられているため、人材採用の戦いでGAFAなど外資系IT大手に負ける。せっかく社内で育てた人材も、より良い処遇を求めて転職してしまう。その反省から高額報酬制度を新設する企業が出てきているが、あくまで一部社員に限った数人単位の試みであり、産業全般への広がりに欠く。

 新卒一括採用と終身雇用による人材の画一化も問題だ。経団連に加盟する大企業の中には、数年前まで中途採用をしたことのない企業もある。そんな企業がDXに乗り出そうにも、社内からアイデアや企画は生まれにくい。社員の誰もが自社しか知らず、経験という意味でダイバーシティー(多様性)に欠く状態では、社内の常識を離れて発想するのが難しいからだ。

 ほとんどの社員が定年まで辞めないとなると、デジタルサービスの立ち上げなどに必要なシステムを自社で作るのが難しくなる。システム開発は多数の技術者が一時的に必要だ。人材の流動性が高い米国ではシステム開発に合わせて技術者を採用できるが、終身雇用の日本企業はそれができず、外部のITベンダーに開発の多くを委託する必要がある。このままではDXに不可欠なシステムの内製はままならない。

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