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ジョブ型雇用に活路を求めるが

 雇用制度の改革は雇用問題や労働問題に直結するだけに、一筋縄にいくものではない。だが経団連の中西宏明会長が2019年末の定例記者会見で語ったように「産業構造が変わり、良い物を大量に作り世界で稼ぐ日本経済の構図が成り立たなくなってきた」。グローバルで進むデジタル化が及ぼす影響は深刻だ。日本企業は手をこまねいているわけにはいかず、DXに全力で取り組まなければならない。担い手となる優秀な人材の採用・育成は不可欠であり、そのためには雇用制度の見直しが避けられない。

 経団連は当面の方策としてジョブ型雇用の拡充を挙げる。ジョブ型雇用は仕事内容を詳細に記述したジョブディスクリプション(職務記述書)に基づいて働く雇用制度だ。欧米企業などが広く採用している。仕事の難易度や貢献度に応じて高額報酬を提供する代わりに、中長期的な雇用を保証しない。ジョブ型雇用を活用すれば、日本企業もDXに必要な人材を必要な時に採用するのが容易になるだろう。

 ただし優秀な技術者らを採用できたからといってDXを推進できるわけではない。DXが変革である以上、ビジネス構造の変革、そして従業員の意識や働き方の変革をリードできる人材がいる。つまりDXを主導できる経営者である。経団連に加盟する大企業の経営者は大半が日本型雇用制度にどっぷりつかってきた。そんな経営者が果たしてDXを主導できるのだろうか。

 リーダーの心得に率先垂範がある。まずは自らが年功序列をやめてみてはどうか。次の経営者はこれまで通り内部昇格でよいのか。外部から招へいする必要はないのか。春の交渉の前によく考えてみる必要があるだろう。

木村 岳史(きむら・たけし)
木村 岳史(きむら・たけし) 編集委員。1989年日経BP入社。日経ネットビジネス副編集長を経て2010年に日経コンピュータ編集長。13年1月より現職。日経コンピュータと日経 xTECHにIT業界やIT部門の問題点を斬る辛口論評を執筆中。