全1483文字
PR

 ネットワンシステムズなどが絡む循環取引の問題が波紋を広げている。発覚した2020年1月以降、循環取引に関わった企業が次々に発覚しIT業界を揺るがす事態となった。

 今回の問題によりIT業界の「古傷」も再び痛み始めた。過去にニイウスコー、アイ・エックス・アイ、メディア・リンクスなどがそれぞれ引き起こした循環取引よる不正会計事件が思い起こされたからだ。IT業界に対して「不正が後を絶たない業界」との厳しい視線が注がれる結果となった。

 IT業界で不正が後を絶たないのは事実だ。ただし、原因としてよく挙げられる「ソフトウエアなど目に見えず正確な価値が分かりにくい商品を扱っているために、不正に手を染めやすい」との指摘は必ずしも正しくない。サーバーなどのハードウエアを循環取引の対象として使うケースも多いからだ。

 循環取引は複数の企業で実態のない取引を繰り返し、売り上げや利益を水増しする不正会計の手法だ。帳簿上の「取引」でしかなく、実物の商品を企業間でやり取りしないので、対象となる商品はそれこそ何でもよい。

 循環取引のポイントは営業担当者、あるいは経営者による不正であることだ。そのため、コンピューターやネットワーク機器などの販売を主力事業とするIT企業が絡むケースが多い。例えばIT業界で最大規模の不正会計事件を引き起こしたニイウスコーはIBM製品の販売会社だった。

 厄介なのは、複数の企業を巻き込んで正常な取引を装うところにある。不正を発見するのが難しく、いわば発覚リスクが低い不正と言える。そのため、投資家から高い成長性を期待されるIT企業の経営者や、高いノルマを背負う営業担当者が手を染めてしまう。