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 新型コロナウイルスの感染拡大により世界レベルでの景気後退が現実味を帯びてきた。人々の移動が制限され、経済活動が滞り、各国の株式市場で株価の暴落や乱高下が続いたこともあり、2020年度は厳しい経済環境下でのスタートとなった。感染拡大の行方が見通せないために予測は難しいが、最悪の場合、長期にわたる世界同時不況に陥る恐れもある。

 そうなると企業は設備投資に慎重にならざるを得ない。収益環境が悪化してくれば、全社的なコスト削減に乗り出す必要も出てくる。では、IT投資やITコストはどうか。これまでの不況時は多くの企業がシステム刷新などの計画を凍結し、IT部門の人件費やシステム保守運用の外部委託費などの削減に走った。今回も同じような対応でよいのだろうか。

 多くの企業は今、デジタルトランスフォーメーション(DX)を経営課題に掲げている。言うまでもなくDXはデジタルを活用したビジネス構造の変革だ。デジタルサービスの創出といった顧客接点でのデジタル活用だけでなく、業務プロセスを改革し老朽化した基幹系システムを刷新していく必要もある。しかもディスラプター(破壊者)と呼ばれる新興IT企業などに対抗するために、素早く手を打たなければならない。

 従ってDXは優先度の高い経営課題だ。景気が悪化して業績が多少落ち込んだとしても、引き続き推進していかなければならない。IT投資の全てがDX関連ではないにしても、企業がDXを本気で推進する以上、IT投資の大半が何らかの形でDXに関係しているはずだ。だから大幅な赤字転落が見込まれるなど非常事態にでも追い込まれない限り、IT投資凍結の経営判断はあってはならない。