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 新型コロナウイルスの感染拡大により世界の株式市場の混乱が続いている。株式相場が暴落したり乱高下を繰り返したりしているため、投資家は眠れぬ夜を過ごしているだろう。

 そうした中で興味深いニュースがあった。ネット証券大手のSBI証券は、2020年3月15日時点で投資信託の月間の積立設定金額が200億円を突破したと発表したのだ。2019年11月末時点では150億円だったので、株式相場が暴落を始めた時期に3割以上も伸ばしたことになる。同じくネット証券大手の楽天証券も、3月15日時点の積立設定金額が1年前の約2倍の165億円となったと発表している。

 これが何を意味するのかというと、投信を毎月コツコツと買って資産形成を図ろうという人が増えたということだ。金融庁の審議会が2019年6月に「老後2000万円が不足する」との報告書を公表したため、危機感を抱いた若い世代が資産形成に動き出している。株式相場が乱高下する状況でも、その流れが続いているわけだ。「貯蓄から投資へ」は長年の課題。ようやくその動きが本格化してきたと言える。

 問題はここからだ。若い世代は20年、30年の長期にわたって資産を形成していく。はたして日本の株式市場、そして日本経済は若年層の長期的ニーズに応えられるだろうか。これから先、いわゆるデジタル革命の時代が続く。日本企業もデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じてビジネス構造の変革に乗り出しているが、欧米企業や中国など新興国の企業に比べ出遅れ気味だ。

 そうでなくても日本経済の成長力は米国などに比べて弱い。株式相場の代表的な指数である日経平均株価も、30年前の史上最高値から程遠い水準で低迷している。しかも少子高齢化の影響で、国内市場は縮み続ける。もし多くの日本企業がDXに失敗しデジタル革命の波に乗れなければ、日本経済、そして株式相場が低迷を続けるのは避けられない。