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 新型コロナウイルスの感染拡大で、ついに政府が東京や神奈川など7都府県に続き全国に緊急事態宣言を発令した。他人との接触を避けるために自宅にとどまることなどを要請しており、企業のビジネス活動や人々の生活は大きな制約を受けている。

 そうした中、ITはビジネスや生活を支えるインフラとして重要性が高まっている。多くの企業がテレワークを導入し、オンライン教育やオンライン診療などの取り組みも動き出している。ただ今回の新型コロナ禍は、日本におけるIT活用の「後進性」をあぶり出した。テレワークを実施したくてもVPN(仮想私設網)などの環境が整っていない。環境があっても業務のやり方や制度面の問題から使えない。そんな事態が頻発している。

 例えば企業のテレワーク。一気に普及したように見えるが、相変わらず出勤せざるを得ない人は多い。その典型がシステム開発や保守運用を担う技術者だ。VPNのライセンスが足りなかったり、セキュリティーポリシーでリモートアクセスを禁じていたりと理由は様々だが、IT部員やITベンダーの技術者が一堂に会してオンサイトで開発を進めているケースは多い。

 中にはIT部門や元請けの大手ITベンダーがテレワークを導入しようとしても、下請けのITベンダーが対応できないといった事例もある。その結果、IT部門や元請けも含め開発チーム全員が出勤することになったり、極端な場合、下請けの技術者だけが客先に出勤したりする事態が生じている。

 総務部門や経理部門では、いわゆる「ハンコ問題」で出勤を強いられる人が数多くいる。例えば取引先が請求書などをPDFで発行するのを認めない場合、紙の請求書をプリンターで打ち出し社印を押して郵送しなければならない。PDFの請求書の作成・送付は自宅からでもできるが、紙とハンコが必要なら不可能だ。このため担当者は毎週、その「雑務」をこなすために日を決めて出社せざるを得なくなる。