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 新型コロナウイルス禍によりビジネスや人々の生活は大きな変容を迫られた。この結果、既存のビジネスの多くが苦況に陥る一方で、新たなビジネスチャンスも生まれている。特に非接触、リモートがビジネスの新常態になったため、IT分野ではそれを前提としたサービスが急成長を遂げつつある。

 代表例は言うまでもなくWeb会議ツールだ。米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのZoomが爆発的に普及し、米マイクロソフトもビジネスチャットツールのTeamsの映像・音声会議機能を強化して後を追う。Web会議ツールやその前身とも言えるテレビ会議システムは多くのITベンダーが商品化しているが、新興企業のズームと「模倣者」のマイクロソフトにより、市場は一気に塗り替えられた。

 こうしたダイナミックな市場の動きに対して日本のITベンダーはどうかと言うと、蚊帳の外だ。グローバルではもちろん、日本市場だけを見ても存在感は希薄だ。

 もちろんWeb会議ツールに限った話ではなく、今に始まった話でもない。クラウドにしてもパッケージソフトウエアにしても、米国などのITベンダーのサービスや製品を模倣して商品化したところで、日本市場でさえマイナーな存在にとどまる。そんな状況が長く続いてきた。

 クラウドなどを活用したデジタルサービスでは、全く新しいビジネスを興した企業に注目が集まるが、模倣者であっても有力なプレーヤーになり得る。Web会議ツールはまさにその好例だ。GAFAも互いに他社のサービスを模倣し、新規参入を繰り返してきた。米国以外でも中国や東南アジアなどで、米国発のサービスを模倣したITベンダーが急成長しているのは周知の通りだ。

 一方、日本のITベンダーはこの模倣が苦手だ。一般には、全く新しいビジネスを生み出すよりも、他社のビジネスを模倣するほうが労力は少ない。それなのになぜか。そもそも日本企業は模倣を得意としていたはずである。