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 2020年9月4日、仙台市に本店を構える七十七銀行が「ドコモ口座において、不正に盗み出した口座番号やキャッシュカードの暗証番号などの情報を使用した当行口座の不正利用が発生した」と公表したのが、一連の騒動の発端だった。

 その後、NTTドコモの電子決済サービスであるドコモ口座を使った不正出金事件が相次いで発覚、被害は11銀行で211件に及んだ(9月24日時点)。その多くが、ゆうちょ銀行の口座からの不正出金だった。ゆうちょ銀ではドコモ口座以外の決済サービスを通じた被害も発生しており、9月24日には7種類のサービスで約380件の不正出金があったと発表している。

 一連の不正出金事件を受けて、NTTドコモとゆうちょ銀がそれぞれ謝罪会見に追い込まれる事態となった。世間を騒がせ、直接の被害者だけでなく銀行口座を持つ多くの人を不安に陥れた大事件となったわけだが、冷静に見ると被害額自体はそれほど大きくない。9月24日時点でドコモ口座関連の被害額の合計が2833万円、ゆうちょ銀口座関連が約6000万円だった。

 なぜこれらの額をもって「大きくはない」とみなすかと言うと、「老舗」の決済サービスであるクレジットカードの不正利用の被害額が桁違いだからだ。最近では年間の被害額が200億円を優に超える。このためか今回の事件の関係者からは「被害額からすれば大した事件ではないのに……」との声も聞こえてくる。

 もちろん、この認識は間違いだ。ネット関連のサービスを一切利用していない人でも、当該銀行に口座を持っているだけで被害を受ける可能性があったわけで、それだけでも「大した事件」と言える。さらにNTTドコモやゆうちょ銀など、セキュリティーに厳格でなければいけない企業が一種の思考停止状態に陥り、想定外の事態を招いた。大きな問題として反省し教訓としなければいけないのは明らかだ。