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 2020年10月1日に発生した東京証券取引所のシステム障害により、終日にわたり株式取引ができなくなった問題が波紋を広げている。システムの再起動が可能であったにもかかわらず、取引開始時間前に受け付けていた注文の取り扱いを巡り大きな混乱が予想されるとして、終日の売買停止を選択せざるを得なかったからだ。多くの投資家が1日中、株式を売買する機会を奪われる結果となった。

 システム障害は「共有ディスク装置」の1号機のメモリーに故障が発生し、2号機のみの運用への自動切り替えにも失敗したことだ。こうしたフェイルオーバーの失敗は珍しいことではないため、東証にとっては想定内だったはずだ。実際に午前9時26分の段階で、強制切り替えを完了しており、いつでもシステムを再起動できる状態にあった。

 ところが再起動にあたり、既に受け付けた注文の失効などで一部の証券会社と折り合えなかった。証券会社との間で明確なルールや手順を定めていなかったのだ。証券会社など市場参加者との間では、システムを相互に接続して密接に連携しているにもかかわらず、全体を包含するBCP(事業継続計画)に抜けがあったわけだ。

 今回の障害は、東証のシステムが事実上、日本における株式取引の「唯一のプラットフォーム」であることも明らかにした。名古屋・札幌・福岡の地方証券取引所は東証のシステムを利用しており、2つある私設取引システム(PTS)も代替市場としての役割を果たせなかった。そのため、ほとんどの投資家が終日、取引できないという前代未聞の事態に陥ったわけだ。