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 デジタル庁の創設など行政や日本社会のDX(デジタル変革)を重要政策として掲げた菅義偉内閣が、新たに注目すべき政策を打ち出した。菅首相が2020年10月26日の所信表明演説において、温暖化ガスの排出量を「2050年までに全体としてゼロにする」ことを明らかにしたのだ。

 いわば「経済のグリーン化」を目指そうというもので「経済のデジタル化」と共に、これからの時代に最も重要な政策が日本でもようやく実現に向け動き出した。経済のデジタル化の重要性は言うに及ばないだろう。経済のグリーン化の重要性についても、単に環境保護やESG(環境・社会・企業統治)などの観点からだけではない。

 以前、このコラムで指摘したが、いま世界では2つの大きな変革が同時に進んでいる。かつての産業革命に匹敵すると言われるデジタル革命と、石炭・石油といった化石エネルギーの時代に終焉(しゅうえん)をもたらすエネルギー革命である。

 18世紀半ばの英国に端を発した産業革命は、工業製品を大量に生産し大量に流通させることを可能にして「モノの時代」を出現させた。そして、産業革命と以降の社会を支えてきたのが化石エネルギーだ。日本はこうしたモノの時代、化石エネルギーの時代にうまく適応できたために、これまで経済的な繁栄を謳歌することができた。

2つの革命に乗り遅れた日本

 だが、デジタル革命によりビジネスの主役は、工業製品などのモノから、情報やコンテンツ、それに基づくサービスなどに移る。さらにエネルギー革命の進展で、二酸化炭素を大量に排出する化石エネルギーに、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが取って代わる。単にエネルギー産業だけでなく、例えば日本の基幹産業である自動車産業でも、ガソリン車から電気自動車や燃料電池車へシフトが急速に進む。