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 日本企業の間で、意外なほどDX(デジタル変革)の「裾野」が広がっていない。経済産業省が2020年12月末に公表した報告書「DXレポート2(中間取りまとめ)」によると、92%の企業が「未着手」や「一部での実施」のレベルにとどまっていたという。

 この数字は、2020年10月時点で223社が自社のDX推進状況について自己診断した結果を、情報処理推進機構が分析したものだ。明確な問題意識を持って自己診断した企業ですらこの程度なのだから、日本企業全体では本格的にDXに取り組んでいる企業はまだわずかと考えたほうがよい。

 1年前と比べても、DXへの取り組みが進んだとは言いがたい。2019年の同様の自己診断では、「未着手」「一部での実施」の企業が95%というから、わずかに改善した程度である。報告書も「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた結果、事業継続に対する危機感の高まったことでDXが加速しているのではないかと期待されたが、残念ながら顕著な状況改善は見られなかった」と失望感を表明している。

 もう1つ気になる数字がある。日経BP総合研究所がまとめた「デジタル化実態調査(DXサーベイ)2020年版」によると、DXに関する経営者の姿勢で「重要性を理解しているものの、現場任せ」(37.5%)と「重要性を理解していないし、無関心」(4.9%)を合わせると42.4%に達する。

 2020年7月~8月に実施し、865社から有効回答を得た調査で、同様の調査は1年前にも実施している。そのときの「現場任せ」(41.6%)と「無関心」(5.2%)の合計は46.8%なので、DXを「我が事」と考えない経営者の割合は高止まりの状態にあると言ってよい。