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 2021年2月3日の厚生労働省の発表には驚いた。新型コロナウイルス感染の拡大防止策として導入した接触確認アプリCOCOA(ココア)で、Android版の不具合を4カ月以上にもわたり放置していたことが明らかにされたからだ。陽性登録したアプリ利用者と接触しても検知・通知されない障害というから、重大な不具合である。

 ただ、この不具合でどれくらいの影響があったのかを考えると、必ずしも「重大な問題」ではない。アプリのダウンロード数は2月18日時点でも2538万件、日本の人口のほぼ2割に過ぎない。インストールしただけで通知を有効にしていない人や、複数のスマートフォンにインストールしている人もいるだろう。新型コロナ禍対策としての効果はそもそも限られている。

 Android版スマホでCOCOAを利用していた人は、陽性者と接触したことを知る機会を4カ月以上にわたり奪われたが、それとて重大事とまでは言えない。COCOAの利用者が限られていることを誰もが知っているため、通知がないからといって「自分は大丈夫」と思い込む人はいないからだ。

 このようにCOCOAの不具合は、深刻な影響を社会に及ぼしたわけではないのだ。もちろんだからといって、不具合や厚労省の不作為に全く問題はなかったと言うつもりはない。COCOAは「その程度の存在」にすぎないことを指摘したいのである。

COCOA以外にもある「とりあえず作ってみた」

 そもそも新型コロナ禍対策におけるCOCOAの役割自体が曖昧だ。厚労省が挙げるCOCOAの役割は「利用者が陽性者と接触した可能性を知ることで、検査などを早く受けることができる」と「利用者が増えることで感染拡大の防止につながる」の2点だ。ただCOCOAがそうした役割を果たすには、利用を促す制度面、体制面の仕組みが不可欠なはずだ。