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 「システム障害などにより、航空機の便に欠航や遅延が生じるなら、即座にあらゆる手段を使って顧客に詳細な情報を伝える必要がある。顧客が知らずに空港まで来てしまう事態は極力避けなければならない」。大手航空会社のCIO(最高情報責任者)がそんな話をしていたのを思い出した。

 早めに知らせれば、顧客は他社の便に変更したり、空港に向かわずに新幹線などに変更したりできる。要は、顧客にとって最悪の事態を素早い情報提供で回避しようというわけだ。航空会社にとっての最悪の事態を避けるという意味もある。空港で困惑する大勢の人々の悲嘆や怒りの声が報道されたり、ソーシャルメディアで拡散されたりすると企業の信用やブランドの大変な失墜につながるからだ。

 2021年2月28日に発生した、みずほ銀行のシステム障害に接して、真っ先に思い出したのはこの話だ。

 このときの障害では、顧客がATMに投入したキャッシュカードや預金通帳が戻ってこないという問題が発生した。顧客にとって相当に深刻な事態だ。日曜日だったことで銀行員やコールセンターとなかなか連絡が取れず、多くの人が長時間にわたりATMから離れることができなくなってしまった。

 「ATMに通帳が取り込まれたまま出てこない。自宅にも帰れず、どうしたらいいのか」「キャッシュカードがATMに吸い込まれた。電話をしてもつながらない。カードが戻ってこないので、ATMから離れられない」。そんな困惑の声、怒りの声が様々なメディアで報道される結果となったが、みずほ銀行はWebサイトなどで断片的な情報を提供したにすぎなかった。

利用者の怒りの声が拡散

 みずほ銀行としても想定外の事態であり、休日で人がおらず行内に混乱があったほか、「正確な情報のみを提供すべき」との思いもあったのかもしれない。しかしWebサイトには「ATMにカードや通帳を取り込まれた顧客には後日連絡、返却する」としか掲載しておらず、これだけの情報で顧客がカードなどを残して立ち去るのは難しい。実際に、4時間以上も待ち続けた人がいたことが報道されている。