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 またしても「メード・イン・ジャパン」の品質への信頼を失墜させるような不正行為が明るみに出た。

 三菱電機は自社で製造する鉄道車両向け空調装置などで、長年にわたって不適切な検査を行ってきたという。架空の検査データを生成する専用プログラムを使って、顧客向けの報告書を作成していたというから、相当悪質な行為である。不正発覚を受けて、2021年7月2日に杉山武史社長が引責辞任を表明する事態に発展した。

 最近、日本企業による品質不正が後を絶たない。この5年ほどでみても、おもだったものだけで30件以上に達する。不正に手を染めた企業には神戸製鋼所、日産自動車、SUBARUといった大手製造業が名を連ねた。

 悪質さの度合いこそ様々だが、日本企業による品質不正には共通のパターンがある。各社とも、品質や安全には問題がないとの現場の勝手な判断で、検査データの改ざんや無資格者による検査などの不正行為を続けた。しかも経営はそうした現場の不正を長年にわたり見抜けずにいた。まさにガバナンス不全である。

 「日本企業、特に製造業の強みは現場力」とはよく語られることだ。経営からの指示がなくても、各現場が自ら創意工夫を凝らしてカイゼンを積み重ね、求められる以上のQCD(品質、コスト、納期)を達成する。経営者も「現場のことは現場に任せる」として強い統制をかけることはなかった。一連の品質不正は、現場力を過信するあまりガバナンスを軽視したことで、生み出されたといってよいだろう。

経営の横串機能を果たせないCxO

 現場の不正行為がここまではびこってしまった以上、日本企業も現場任せを改め、欧米企業と同様に、現場に対するガバナンスの強化に乗り出すべきだろう。何も目新しいことをやれと言っているわけではない。CxO制度の導入・強化と情報システムによる統制の強化を図るべきなのである。

 CIO(最高情報責任者)やCFO(最高財務責任者)といった役員の呼称は、日本企業も近年採用するようになってきた。だがCxO制度として機能しているかと言えば、はなはだ疑問だ。