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 インテリジェンス(intelligence)の重要性について、日本のIT関係者は十分に認識しているだろうか。そもそも、この言葉の意味を正しく理解しているだろうか――。

 今一番ポピュラーなインテリジェンスと言えば、アーティフィシャルインテリジェンス(Artificial Intelligence)、つまりAI(人工知能)に違いない。この場合は知能や知性を意味する。ただインテリジェンスには、もう1つ重要な意味がある。日本語でニュアンスを伝えるのは難しいが、言うなれば「判断や意思決定で必要となる決定的な情報」のことである。BI(ビジネスインテリジェンス)のインテリジェンスだと言えば、ピンとくるはずだ。

 つまり、成功するために、あるいは勝つために不可欠な情報がインテリジェンスなのである。そう言えば「今やスポーツは情報戦でもある」などとよく指摘されるが、その際の「情報」とはインテリジェンスのことだ。今回の東京オリンピック・パラリンピックでも、各国の各種競技チームがインテリジェンスを駆使して競技に挑んだ。

 例えばオリンピック柔道の日本チームは、9個の金メダルを獲得するなど前回大会から大躍進を遂げたが、その陰に徹底したデータ分析と活用があったことが報じられている。対戦相手が繰り出す技やそのきっかけ、審判が「指導」を出すタイミングなどの情報から、選手が試合の最中に何をするのが最善かを判断できるようにしたという。まさにインテリジェンスである。

BIがインフォメーションでしかない

 では日本の企業や政府機関には、インテリジェンスを獲得し意思決定などに活用する能力はあるのか。残念ながら、能力は乏しいと言わざるを得ない。

 日本政府のインテリジェンス機能の弱さは以前から指摘されてきたことである。この場合のインテリジェンス機能とは、国家情報機関のことを指す。米CIA(Central Intelligence Agency:中央情報局)のような強力な組織を、日本は持っていない。