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 日本のDX(デジタル変革)を進める上で障害となる法制度を包括的に見直そうという政府の取り組みが始まった。その旗振り役は、2021年11月16日に初会合を開いたデジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)だ。

 デジタル臨調は岸田文雄首相を会長とし、有識者らによって構成される。行政や民間のデジタル改革と規制改革、行政改革を一体で議論し、共通の指針となる「デジタル原則」を策定。2022年春をめどに、デジタル化を阻害する、対面や目視などを義務づける規制の見直しプランを取りまとめる。具体的には、行政手続きの押印廃止の際の「脱はんこ法案」のように、様々な法律などの一括改正を目指す。

 12月1日には、各省庁が所管する法律、通知や通達などを精査して一括見直しを進めていく上での実務を担う組織として、デジタル臨調事務局準備室も発足させた。2022年1月にも正式な事務局を設置する予定で、デジタル改革や規制改革、行政改革を担っていた官僚に加え、民間のデータサイエンティストや弁護士らが参画するという。

 “元祖”臨時行政調査会(臨調)は過去に2度設置され、行政改革などの推進に一定の役割を果たした。デジタル臨調も、日本のDXを阻む規制などを一気に見直そうという野心的な目標を掲げ、強力な事務局の設置など、実行面での体制も整えている。全てはこれからだが、ひとまず「その意気や良し」と評価してよいだろう。

改革に向けた熱意が首相にあるか

 1995年にインターネットの普及が始まって以降、日本でのビジネスや行政手続きのデジタル化は、法規制など制度面の壁との「戦い」の歴史だった。例えば旅行業や証券業でネットを活用しようとした際、対面での文書交付が必要といった規制が立ちはだかった。その都度、個別に規制が緩和されたが、時間がかかり不十分に終わった例もある。最近では、オンライン診療の規制緩和が遅々として進まなかった。