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 新しい年、日本企業のIT/デジタル投資、そしてDX(デジタル変革)の動向はどうなるのか。それを占う上で興味深いデータと分析がある。

 日本銀行が2021年12月13日に発表した全国企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観によると、企業のIT/デジタル投資意欲が極めて高いことが見て取れる。2021年度に計画するソフトウエア投資額は、金融機関や持ち株会社を含む全産業ベースで対前年度比14.2%増と2桁の伸びとなる。

 このソフトウエア投資額は、2020年度に同7.3%減と比較的大きな減少を記録している。2021年度はこのまま計画通りに推移すれば、前年度の減少分をはるかに上回る伸びを記録することになる。

 ただ、これらの数字に違和感を覚えないだろうか。確かに、2020年度は新型コロナウイルス禍に襲われたことでIT/デジタル投資が縮小し、2021年度はその反動増が期待できる、といったストーリーが描ける。しかし、システムインテグレーター(SIer)の2020年度の業績は軒並み好調とはいえないものの、増収増益だった企業も多い。「今年、V字回復と言われても…」というのが実感だろう。

 実は、そうした疑問に答える分析がある。2021年9月に公表された経済財政報告(経済財政白書)である。日銀短観のソフトウエア投資額は需要側の統計だが、白書では供給側の統計である経済産業省の特定サービス産業動態統計調査などと比較している。

 それによると、2020年度は需要側統計では対前年度比で減少か横ばいなのに対して、供給側統計では増加している。違いが生じた理由として白書は、供給側がソフトウエア関連の売上額なのに対して、需要側は投資額であることを挙げる。ユーザー企業は投資として扱うものと費用処理するものを区分するが、ITベンダーは両者とも売り上げとして計上する。供給側と需要側に差が出たのは、このためというわけだ。

 つまりユーザー企業は、ソフトウエアの費用処理の割合を大幅に増やしている。これが何を意味するのかというと、システム開発などに投資するよりも、ITベンダーが提供するソフトウエアを使って料金を支払う傾向が強まっているということだ。