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 これから先10年、20年にわたりIT産業、そして社会全体に大きなインパクトを与えることになる技術は何か。2つ挙げよ――。そう聞かれたら読者は何と答えるだろうか。

 おそらく多くの人が最初に挙げるのはAI(人工知能)だと思う。しかし私はAIをあえて外す。確かにAI技術の進歩はIT産業を発展させるし、場合によっては人から仕事を奪うなど深刻な影響を社会に与える可能性もある。だが、それ以上に巨大なインパクトを与えるであろう技術がある。量子コンピューターとメタバース(仮想空間)だ。

 量子コンピューターは当初、スーパーコンピューターと同様、特定用途向けマシンと見なされていた。しかし今では、用途は意外に広いと考えられるようになった。特に量子ゲート型マシンはアルゴリズムの開発動向次第の面はあるが、既存のコンピューターの「上位互換」として、IT産業を大きく変えてしまう可能性がある。

 メタバースも従来のイメージを大きく変えた。これまでは、リアル感のない3D空間でアニメ風のアバターが動き回り、会話をしたりするコミュニティーサービス、あるいはゲームの舞台といった印象が強かった。こちらも特定用途向けといったところだ。しかし最近では、メタバースはUI(ユーザーインターフェース)の一大変革であり、没入感を考慮して今風に言えば新たなUX(ユーザーエクスペリエンス)の創造と捉えられるようになった。

 つまり、量子コンピューターがバックヤードのコンピューティングを抜本的に変え、メタバースがフロントサイドのUXに革命をもたらす。そうした認識を持つがゆえに、私はこれからIT産業や社会全体に大きなインパクトをもたらす存在として、この2つの技術を挙げたわけである。