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 当然予想されたことではあるが、社会インフラへのサイバー攻撃や、人心を惑わす偽情報のネット上での拡散などが、戦争の道具、あるいは兵器となることを目の当たりにすることになった。2022年2月下旬にロシアがウクライナに軍事侵攻した際、それを前後してウクライナ国内ではサイバー攻撃などが相次いだ。ロシアによる攻撃と米国などが断定しており、タイミングなどからみても間違いないだろう。

 報道によると、ロシア軍の侵攻が始まった2月24日前後に、ウクライナの国防省や教育省、議会などのWebサイトが閲覧できなくなったほか、複数の銀行のサイトで障害が発生したという。大量のデータを送りつけ障害を発生させるDDoS攻撃やマルウエアなどが活用されたもようだ。それに先立つ2月15日にも国防省や銀行などに、DDoS攻撃が仕掛けられている。

 さらに15日のDDoS攻撃の前後には銀行の名をかたって「ATMが使えなくなった」との偽情報がSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使ってウクライナ市民に送りつけられ、市民の間に混乱が広がったという。米国がいち早く察知して情報を公開したため「未遂」に終わったが、ロシアが侵攻の口実とするため動画を捏造(ねつぞう)しているとの報道もあった。

 もちろん初めてではない。サイバー攻撃や偽情報の拡散は日常的に発生しており、ロシアをはじめいくつかの国の関与も指摘されてきた。さらに、ロシアが2008年にグルジア(現ジョージア)に侵攻した際にも、グルジア政府の関連サイトなどにサイバー攻撃を仕掛けたと言われている。今回見せつけられたのは、既にサイバー攻撃などが戦争の道具として組み込まれている現実に他ならない。

「NO WAR」を訴える手段もある

 かつての産業革命に匹敵すると言われるデジタル革命が急ピッチで進むなか、企業などがDX(デジタル変革)を進めている。当然のことながら、軍事のDXも進んでいる。むしろ、企業活動に比べ倫理面の制約などをある程度無視できる軍事領域のほうが、DXの取り組みが一歩も二歩も先を行くと考えたほうがよい。