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 いつの間にか、企業のIT人材を2つのタイプに分けるのがすっかり定着してしまった。基幹系など既存システムを担当する人材と、デジタルサービスのためのシステム構築を担う人材といった区分だ。それぞれがいわゆる「守りのIT」と「攻めのIT」を担う。

 DX(デジタル変革)を推進する企業においては、IT人材をこのようにタイプ分けするだけでなく、それぞれを別組織にするのも一般的だ。既存システムの保守運用を担うIT部門とは別に、DX推進の実働部隊として新たにデジタル推進組織を立ち上げるといった形をとる。担当役員も従来のCIO(最高情報責任者)に加え、CDO(最高デジタル責任者)といった役員を任命し、デジタル推進組織を率いさせる。

 企業によっては、IT部門とデジタル推進組織を「統合」する動きもある。ただその場合も、DX推進本部といった名称の「屋上屋」をつくり、その下に2つの組織をぶら下げるというパターンが多い。何のことはない。両方の組織はそのままの形で残り、両組織のIT人材、つまり守りのIT人材と攻めのIT人材が交じり合うことはない。

 なぜIT人材を2つのタイプに分け、しかも別組織にするのか。こうした体制をとる企業に理由を聞くと、似たような答えが返ってくる。「既存システムを担当する人材と、デジタルサービスの立ち上げを担う人材では、必要とする知識やスキル、マインドセットが全く違う」。要するに、両者は全く異なるから一緒にしないほうがよい。「まぜるな危険」というわけだ。

人材を機械的に分類してよいのか

 基幹系など既存システムの保守運用など守りのITと、デジタルサービスの創出といった攻めのITを「共存」させることは、企業にとって必須のことだ。ただ、組織を分けIT人材を分けることで、その共存を担保するのは本当に正解なのであろうか。