WebブラウザーのInternet Explorer(IE)のサポートが、2022年6月15日(日本時間16日)をもって終了した。しかし一連の報道をみる限り、多くの企業や公共機関のシステムで、ブラウザーの切り替えやシステム改修が進んでいないようだ。改めて企業や公共機関の「先送り体質」が顕在化した形だ。
こうした緩慢で甘い対応の背景には、米Microsoft(マイクロソフト)の「救済措置」の存在がある。後継ブラウザーのMicrosoft EdgeのIEモードを使えば、IEのプラグインであるActiveXコントロールも動作できる。ActiveXコントロールを使ったシステムであっても、当面ブラウザーの切り替えに伴うシステム改修を回避できるわけだ。
マイクロソフトは少なくとも2029年までEdgeでIEモードの提供を続けるという。今から7年も先だ。当該システムの担当者からすれば、IEのサポート終了だからといって、何も今慌てて対策を講じる必要はない、との判断が成り立つのかもしれない。
ただし、これは正しい判断とは言えない。本来なら製品サポートが終了する以上、それまでに十分な準備期間を設けて、ブラウザーの切り替えに伴うシステム改修を終えていなければならない。何らかの事情でサポート終了に間に合わなくても、切り替え時期を設定し準備を進めるのが本筋だろう。
ところが、何の計画も立てていなかったり、計画があっても仮決めにすぎなかったりする企業や公共機関も多いと聞く。そもそも早い段階からサポート終了時期が分かっていたにもかかわらず、漫然と時を過ごしてきたのなら、これから先もシステム改修などを先送りし続ける可能性が高い。