2023年1月12日付の日本経済新聞の朝刊に掲載されていた調査記事を読んで、暗たんたる気持ちになった。記事は日本と中国、韓国の計270社超の経営者に対するアンケート結果をまとめたものだが、デジタル投資に対する日本企業の経営者の意欲の低さに、思わず天を仰ぎたくなった。
2023年のデジタル関連投資(既存のIT設備の更新を除く)について、中国の経営者の8割超が対前年比で10%以上増やすとしており、韓国でも10%以上増やすとする経営者が半数を大きく上回る。一方、日本企業の場合、10%以上増やすとした経営者はわずか22.4%に過ぎなかったという。
もちろん1月から事業年度が始まる中国や主に1月からの韓国と異なり、日本は主に4月からだ。調査が実施された2022年12月の段階では、2023年4月以降の投資額を詰め切れていない企業も多いはずだ。とはいえ、デジタル関連投資額が前年と変わらないとする回答が、中国や韓国の2倍前後の20.4%もあったというから、日本企業の経営者の消極姿勢が際立つ結果だ。
日本が「デジタル後進国」「IT後進国」などと言われて久しい。企業もまたデジタル投資やDX(デジタル変革)で先行する中国や韓国、そして米欧などの「デジタル先進企業」を追いかけなければいけない立場だ。にもかかわらず、デジタル投資にちゅうちょしているようでは、世界の企業との格差をますます開いていくばかりだ。
日本企業においても、DXの必要性、重要性を理解する経営者も増えてきているはず。ならば、デジタル投資への消極姿勢をどのように考えればよいのだろうか。
何に投資してよいか分からない
そう言えば、最近気になることが他にもある。全ての企業が今、取り組まなければならないことを挙げるとするならば、DXとGX(グリーン変革)の2つだろう。言うまでもなくGXとは、地球温暖化をはじめとする環境破壊を防ぐために、ビジネスなどを「脱炭素化」などを図る取り組みだ。DXと同様、GXもまた企業にとって最優先課題と言ってよい。