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多忙を極めるリーダーにとって、メンバーにうまく仕事を任せることは不可欠なスキルだ。しかし任せ方に失敗すると、仕事は途端に進まなくなる。本特集では日経SYSTEMSの過去記事を再編集。現場のリーダーが実践する任せ方のテクニックを習得しよう。

 チームリーダーがメンバーに仕事を任せるとき、リーダーが想定したのとはズレた方向性で、メンバーが仕事を進めていく恐れがある。それを防ぐため、取材した現場のリーダーは、メンバーに仕事を依頼するフェーズで、任せる仕事の内容以外の情報を合わせて伝えていることが分かった。

 メンバーに仕事を任せるテクニックは、任せる前の「準備」、任せるときの「依頼」、任せた後の「フォロー」という3つのフェーズで実践する必要がある。このうち、依頼フェーズで押さえておきたいのが、プラスアルファの情報を伝えるテクニックである。取材を通じて明らかになった伝えるべき情報は、「①裁量の範囲」「②判断の基準」「③仕事の目的・背景」「④目標のイメージ」4つである。

リーダーがメンバーに任せるときに伝えるべき情報
リーダーがメンバーに任せるときに伝えるべき情報
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 4つの情報について順に説明していこう。

①裁量の範囲
 まず伝えておく必要があるのは、任せる仕事に関して、メンバーがどれだけの裁量をもって進めてよいのかという情報だ。裁量の範囲を伝えておかないと、「勝手に判断して仕事を進めたり、逆に事あるごとに指示を仰いだりするようになる」と、研修会社で社内システムの開発を統括しているKさんは指摘する。

 裁量の範囲については、メンバーに与える裁量だけでなく、リーダーの裁量も伝えておくことが重要だ。例えば、仕様策定を任せるときには、「仕様が当初の予定より膨らんでも、スケジュール変更が必要ない場合は、受け入れるかどうかを判断してよい。ただしスケジュール変更が発生しそうなときは、私が判断する」と言えば、メンバーは裁量の範囲を明確につかめる。

②判断の基準
 メンバーには裁量の範囲と合わせて、仕事を進めるときの判断の基準も示しておく。

 例えばメンバーに画面設計を一任するときには、「画面設計を進める上で、ユーザーから個別の要望が出てきた場合は、開発標準で定めた方針に従うようにしてもらいたい」といったことを一言加える。つまりメンバーが迷ったときのよりどころを伝えておくのだ。

 そうすると、「メンバーが自律的に仕事を進めていきやすくなる」(Kさん)。

③仕事の目的・背景
 任せる仕事の目的や背景を伝えることも重要だ。例えば、あるID管理システムの構築プロジェクトの仕様策定をメンバーに任せる場合は、「ユーザーに負担がかからないシステムになるように仕様策定を進めてほしい。利用部門の担当者は、新システムによって作業負担が増えることを懸念している」といったことを伝える。

 このように目的や背景を伝えると、「任されたメンバーは、目的や背景を踏まえて自分でどうしたらよいか考えてくれる」と、大手SIerに勤めるMさんは話す。前出のID管理システムの構築プロジェクトでは、「ID登録の承認作業の負担を減らすために、承認が必要なときにシステムからメールで自動通知する」といった、ユーザーに配慮した仕様を、任せたメンバーが策定したという。