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④目標のイメージ
 リーダーがメンバーに仕事を任せるときには、「最終的にこんな成果物を作ってもらいたい」「関係者が全員納得している状態にしてほしい」といった目標(ゴール)のイメージがあるはずだ。メンバーには、それをクリアに伝えておきたい。そうすることで「目標に到達できるように、メンバーは自律的に仕事を進めてくれる」と、別のSIerに所属するAさんは語る。

 あるプロジェクトでリーダーを務めたとき、AさんはメンバーのCさんに、週次の進捗報告資料の作成を任せた。その際、「進捗率のような定量的な情報だけでなく、メンバーが抱えている現場の問題も把握できるように、こういう内容を書いてほしい」と報告資料の具体的なイメージを伝えた。

 目標のイメージを理解したCさんは現場のメンバー1人ひとりにヒアリングを実施し、「メンバーが作業を進める上で直面している課題などを報告資料にしっかりと盛り込んでくれた」(Aさん)という。

負担大のメンバーへの依頼は慎重に

 リーダーは、メンバーに仕事を任せる際、メンバーの負担にも配慮したい。あまりに忙しい状況で新しい仕事を任せようとすると、「快く引き受けてくれず、成果にも影響が及ぶ」(前出のKさん)からだ。

 Kさんは、リーダーを務めたあるプロジェクトで、ユーザーからの指摘を受けてシステムの一部を修正する必要が生じた。このとき、本来の仕事で忙しかったメンバーのDさんに、無理やりプログラム修正とテストの実施を任せてしまった。

 Dさんはしぶしぶながらも引き受けたが、その結果は惨憺たるものだった。Dさんが修正してテストをしたものの、不具合が多発。その後、不具合を収束させるのに、数回にわたってテストをやり直す手間がかかったという。忙しい中で修正をこなそうとしたことで、十分に品質を考慮して仕事を進められなかったのだ。

 「リーダーは、メンバーの状況を見極めた上で、負担をできるだけ減らして、新しい仕事を任せる必要がある」とKさんは話す。

仕事の棚卸しをして負担を減らす

 それでは、メンバーの負担はどう減らしていけばよいのか。SIerに勤めるのTさんは、「メンバーが抱えている仕事を棚卸しした上で、負担を取り除くとよい」と話す。

 負担は、抱えている仕事内容に応じてリーダーが判断し、減らしていく。例えば、メンバーが抱えている仕事の中に、報告資料の作成があったとする。リーダーは本当にその報告資料を作成する必要があるのか、口頭での報告に切り替えられるのかをチェック。口頭での報告に切り替えられるのであれば、報告書の作成をやめさせる。

 また、方式設計の検討を1人で進めているときには、方式設計に詳しいエキスパートとのミーティングをリーダーが設定して、スムーズに検討が終わるようにお膳立てをする。

 Tさんは、「忙しくても任されると引き受けてしまうタイプのメンバーは、特に負担が重くなりやすい。そういったメンバーに任せる際には、仕事の棚卸しは必須だ」と話す。