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 チェックタイミングの設定とは、任せた仕事の進み具合や抱えている課題について、リーダーとメンバーが話し合う場を、スケジュールに組み込むことを指す。「リーダーが忙しそうだからといって、メンバーが相談をためらい、問題を抱え込んでしまう状況を回避することができる」と、大手SIerのMさんは話す。

 チェックするときには、仕様書や設計書といった、メンバーに任せた仕事の成果物に目を通す。「仕様書などの現物をリーダーが実際に目にしないと、適切な助言をメンバーに与えることは無理だ」と、別の大手SIerのSさんは理由を説明する。「忙しくて現物をすべて見るのが難しいときには、サンプルとして数点だけでも確認する」(Sさん)。

指示系統と別にフォロー役を配置

 オープンな環境を作り出すもう1つの「フォロー役の配置」とは、メンバーをフォローする役割を担う人物を、リーダー、メンバーといった、現場の指示系統とは別に配置するというものだ。

 ある物流会社は、ベテランのリーダーが、若手のメンバーに仕事を任せる場合、メンバーの同僚でもある先輩エンジニアにフォロー役を担ってもらうことがあるという。メンバーがリーダーに直接、抱えている問題を相談しづらい状況でも、「先輩エンジニアにフォローさせるとメンバーは相談しやすくなる」と、同社のUさんは説明する。

 Uさんがリーダーの場合、フォロー役に、任せたメンバーの仕事のサポートも託す。「メンバーには業務フロー図の作成を任せているが、業務フローのパターンの洗い出しが今ひとつ。洗い出し方について見てあげてほしい」と、チェックする観点をあらかじめ伝える。そうすることで、リーダーの代わりにフォローしてくれるという。

 ネットサービス企業のFさんは、「フォロー役は現場の指示系統とは関係ないので、リーダーに面と向かって言えない悩みもメンバーから聞き出せる」と、フォロー役を置くことのメリットを語る。

 例えばあるフォロー役は、「リーダーから仕事を任されて引き受けたものの、その後で、別の仕事を先に着手する必要が出てきた。休日出勤しなければさばけない」といった悩みをメンバーから聞き出せた。そして、すぐにメンバーの負荷を減らす策を講じることができたという。

こんな任され方は嫌だ:任せた仕事を理由なく引き上げる

 Wさんはあるプロジェクトの開始時に、プロジェクトマネジャーのRさんから、進捗管理や課題管理を任された。初めてのマネジメント業務だったが、進捗や課題を取りまとめ、Rさんとコミュニケーションを図り、任された仕事をきっちりこなしていた。

 ところがしばらくして、Rさんがチームメンバーに直接、進捗状況や課題対応について確認し、指示を出すようになった。唐突な方針変更にFさんは戸惑ったが、Rさんからは何の説明もなかった。業を煮やしたWさんがRさんに自分のマネジメント業務に問題があったのかと聞くと、「君はよくやってくれていた」とのこと。それでも今後は、Rさんが進捗管理や課題管理をやるという。

 Wさんは、Rさんが仕事を引き上げた理由を、「自分でメンバーに直接確認しないと気が済まなかったのだろう」と見ている。Wさんは当初、意気込んでいただけに、その反動で仕事へのやる気を大きく削がれたという。