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2019年7月に完了したみずほ銀行のシステム統合。20年にも及ぶその苦闘を「日経コンピュータ」の記事で振り返る。2016年11月24日号はみずほ銀行の新勘定系システムの開発完了が2度目の延期になったと報じた。2013年に要件定義を完了させたもののその後に金融業界が大きく変化し、追加開発が相次いだためだった。

 みずほ銀行は、ピーク時8000人、3000億円強を投じて進めている次期勘定系システムの開発完了を、2016年12月から数カ月間延期する()。2012年のプロジェクト開始当初は開発完了時期を2016年3月としていた。

図 みずほ銀行の次期勘定系システムの開発スケジュール
図 みずほ銀行の次期勘定系システムの開発スケジュール
2回目の延期を決定、完成は数カ月遅れに
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 「一部の開発完了確認が遅れる」。2016年11月14日、中間期決算会見に臨んだみずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長は、プロジェクトの進捗をこのように明かした。

 延期の理由について、佐藤社長は振込業務の24時間化やFinTechサービスへの対応といった、新システムに追加開発が生じたことを挙げた。24時間振り込みは三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行が2017年2月から対応し、「全銀システム」は2018年後半に対応するとしている。

 みずほFGの佐藤社長は、勘定系システムが過去に二度の大規模なシステム障害を起こしたことを踏まえ、「再びシステム障害を起こせる立場ではない」と発言。「私自身が全ての現場を見て(延期を)判断している」「絶対大丈夫という確認を取れる時期が、数カ月延びる」と話した。

外国為替で品質不足の声も

 みずほ銀が開発完了を延期するのは2回目。前回は2014年で、約9カ月間延期した。保守のしやすさと品質を高めるために「詳細設計・製造やテスト工程をそれぞれ数カ月の期間を追加する」という延期理由だった。

 一部で遅延が指摘された2016年7月、みずほFGは本誌取材に、「一部で苦しい局面があったが、全てのサブプロジェクトが総合テストに入っており、現時点で予定通り」と回答した。

 だがその3カ月後、完成を2カ月後に控えた2016年10月末から11月初旬で進捗を確認したところ、状況が変わったようだ。みずほ銀行によると「一部が間に合わない可能性があることが分かった」という。

 あくまで追加開発案件による遅延であり、「根本的なトラブルが生じているわけではない」と佐藤社長は強調。「(進捗が遅れているのは)特定の分野ではない。基本的な部分に問題があるわけではなく、全体の検証に時間を要している状況」(佐藤氏)とした。

 ただ、プロジェクト関係者は「外国為替などの一部の機能で品質が低いことが再延期の主な原因」と指摘する。これについて、みずほ銀は外為も含め、全体が遅れていると説明する。

 遅延の真の原因は追加開発か品質問題か。仮に品質問題とすれば、解決に時間が掛かる可能性もある。

 現状、みずほ銀行は再延期の期間を数カ月間としており、長期的な延期にはならないとみているようだ。完成延期により開発コストが増加するが、佐藤社長は「当社の収益に重大な影響を与えるものではない」と話した。

 遅延には人を充てて対処しているという。佐藤社長は「次期システムが完成すれば、どこの銀行にも負けない」と話す一方で、詳細な完成時期や移行時期の明言は避けた。先行きの不透明さはぬぐえていない。