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【質問2】AIなど最先端技術で後れを取る日本、これでいいのか
【回答】「国がイノベーションを主導しなければいけない」は誤り、企業が頑張れ

 私は今、ITコンサルティングを生業としていますが、社会人になったばかりの頃は製造業で金属系新素材を研究していました。その当時、世界最先端の技術の1つに携わり、30年程前に米国留学も経験しました。

 留学先の米国の大学には信じられないほどの天才がいっぱいいて、自由かつユニークな発想で研究に取り組んでいました。一方、私も含め多くの日本人研究者は理論を重視し過ぎるあまり、大胆な発想を持っている人は少なかったのです。

 最近、日本が世界に後れを取っているという報道をよく見受けますが、昔から日本発のイノベーションは少なかったと思います。日本の大学は学究者で理論を探求する人の集合体のため、大学から多くのイノベーションが生まれることは今後も期待できません。

 やはり民間企業が頑張らないといけないのです。特に大企業は研究費の比率を上げて、ユニークな研究に取り組むべきです。未来の世界の幸福に貢献することが大企業の役割の1つだと思いますので、日本の大企業は長期的な視点ですぐには成果が出ないユニークな研究に投資すべきです。

 しかし、成果が見えにくい最先端分野の研究の場合、国の援助に頼る企業が多いのが日本の現実です。国の資金による研究では、企業が真剣に取り組まないのは明らかです。イノベーションを論じる際、ドイツのインダストリー4.0などの国レベルのコンソーシアムを引き合いに出して「国がイノベーションを主導しなければいけない」という意見が頻出しますが、それは誤りです。その証拠にそんなコンソーシアムにはイノベーティブな企業はほとんど参加していません。