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 スタート以来、日経クロステックの名物コラムとなった「テクノ大喜利、ITの陣」。今回はその第37回だ。毎回、複数の識者に共通のお題(質問)を投げかけ、識者にはそれに答える形で論陣を張ってもらう。お題は日本企業のIT利活用の問題点やIT業界の構造問題、そして世間の耳目を集めたIT絡みの事件などだ。

 第37回のお題は「緊急事態宣言から1年、日本のデジタル化はどこまで進んだ?」。答える識者の2番手に登場するのは、外資系ITベンダーでCTO(最高技術責任者)などを務めた元・東京理科大学大学院教授の田中芳夫氏だ。行政分野で「IT 後進国」ぶりを露呈した日本だが、田中氏は「ITの歴史の中で日本が先進国であったことはない」と喝破する。その上で「出る杭(くい)」などの人材を育てる必要性を説く。(編集部)

田中 芳夫(たなか よしお)
元・東京理科大学大学院教授
田中 芳夫(たなか よしお) 1949年生まれ。大学卒業後に大手重工業メーカーに入社しシステム開発などを担う。1980年に外資系コンピューターメーカーに転職しシステム・製品開発に従事。日本のPCの標準化にも尽力。2005年に外資系ソフトウエア企業に初代CTOとして入社。2007年より国立研究開発法人に参画するとともに、東京理科大学大学院にてソフトウエア開発、技術戦略などを講義。現在、ものこと双発推進代表理事、国際大学グロコム上席客員研究員。
【質問1】日本や日本企業が大きく変わったと思うことってある?
【回答】働き方が変わったのは紛れもない事実。「ITは結構役立つ」と感じた経営者も増えた
【質問2】やはり日本は「IT後進国」だと実感したことは?
【回答】そもそもITの歴史の中で、日本が「先進国」であったと言える記憶はない
【質問3】この1年を踏まえ、これからのDXに必要なものは何か
【回答】もちろん人材に決まっている。「出る杭」らを育てていくしかない