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【質問1】デジタル時代はエンジニアにとってバラ色か
【回答】ハイパーエンジニアには「瞬間的」だが朗報。下請けエンジニアには厳しい時代

 まずもって、日本の企業はITに理解がない。ITを生かせない。その元凶たちを挙げておこう。

  • ITオンチの経営者
  • ITを分かっているふうな口をたたいて、その実、エンジニアを潰す経営を悪気なく続ける経営者
  • ITを分かろうともしない顧客や、それに振り回されるITベンダー
  • 提言もできず存在感のないIT部門

 こうした面々の話は枚挙にいとまがないし、過去の記事でも筆者や他の識者も口酸っぱく言っている通りである。

 何せデジタル時代とはいうものの、いまだに紙とハンコによる事務手続きや商取引にまみれていたり、対面でないと機嫌を損ねてミーティングや商談に応じなかったりと、原始人のような企業もある。もう開いた口が塞がらない。そういう企業に限って、大層な「DX(デジタルトランスフォーメーション)ごっこ」「イノベーションごっこ」をみやびに机上で繰り広げている。

 とはいえ、日本の組織もそこまで愚かではない(と信じたい)。ITに理解を示し、ITに寄り添い、ITを経営の中枢に据えてITエンジニアの待遇を改善する企業が出始めている。給与面で大盤振る舞いをする企業もあり、新卒でも年収1000万~3000万円に達するケースもある。

 しかし、全てのエンジニアが厚遇を受けられるかというと……そうは問屋が卸さない。エンジニアに飛びぬけた能力やポテンシャルがあり、なおかつその価値を認めてくれる企業に出会えた場合のみ、その権利が得られる。その意味では、デジタル時代はごく一部のハイパーエンジニアにとっては朗報である。

 筆者の感覚では、ハイパーエンジニアは全体の1割あるかないかであろう。加えて、エンジニアを厚遇する企業と出会える確率を掛け算すると、その厚遇にあずかることができるのはエンジニアの全人口の1割を大きく割り込むと推察する。

 しかも仮にそのポジションを手にできたからと言って、安心はできない。その環境が未来永劫、ハイパーエンジニアにとって幸せとは限らない。日本のハイパーエンジニアは次のような「敵」に取り囲まれている。

  • 長大な意思決定プロセス
  • 煩雑な社内システム、社内手続き業務
  • 社内政治

 こうした敵、つまり日本企業の長年の悪弊により、エンジニアとして本来の価値を発揮するまでに多くの時間がかかり、無駄に労力を奪われることになる。レガシーな大企業であればあるほど、こうした過去の負の遺産からなかなか逃れられない。しかも問題は、それだけではない。

  • プロパー社員による妬み
  • 同調圧力
  • マウンティング
  • 抵抗勢力の妨害工作

 こうした日本特有の幼稚性あふれる組織文化と、中学高校で培った部活的な横並び主義により(これらについては、前号を参照されたい)、見事に出る杭(くい)として打たれることになる。特に地方都市の「井の中の蛙(かわず)」的なムラ社会集団では、それは本当にひどい。そんなんだから地方は「過疎る」のだ。いや、とっとと過疎化して消滅してしまったほうが、日本のために良いかもしれない。

 こうしてデジタル時代は、ハイパーエンジニアであっても油断できない。デジタル時代の到来は「瞬間的」には朗報であるものの、それだけでは安心できないのだ。本気で変わることのできる組織に所属しているならともかく、そうでないなら、日本脱出などとっとと次の展開を考えたほうがよい。

 さて、そもそも1割いるかいないかのハイパーエンジニアになれない、その他大勢のエンジニアはどうしたらよいか。次善策を講じる必要がある。それは質問2の回答として考えてみよう。