台北101の隣接地に2018年に竣工した「台北南山広場」。三菱地所設計では、この大型施設の設計をきっかけに、台湾での設計受注が拡大している。その中心を担うのが、役員の大草徹也氏をかじ取り役とする3人だ。
三菱地所設計にとって、「台北南山広場」(「フォーカス建築 2つの顔で東西をつなぐ」参照)の完成は、設計ノウハウの蓄積の面からも、受注拡大の面からも影響が大きかった。それがきっかけとなり現在、代表的な大型物件だけでも4つが台湾で進行中だ。南山広場の全体を統括し、取締役常務執行役員として中国や台湾をメインに海外を統括する大草徹也氏は次のように話す。
「海外のプレゼンでは、発注者の困っていることを分析して、どうデザインに生かせるか、シンプルに分かりやすく伝える。グラフィックにもこだわったプレゼンをここで学び、次の仕事に生かしている」
例えば、南山広場では、高層棟の形態を決定する際、発注者である南山人壽保險の「山」の字を手掛かりに、東西をつなげる案を示した。現地の設計者案との多数決でこの案が採用。全体の骨格が固まっていった〔図1〕。
主任設計者として自らスケッチを描いてプレゼンに当たった須部恭浩氏(同社建築設計三部チーフアーキテクト)は、「スケッチやパースを短期間にどうまとめて発注者に見せれば効果的か、南山広場で試行錯誤しながら学んだ。欧米の事務所と違って構造や設備の担当とチームでプレゼンに臨めることも大きい」と語る。