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 日産自動車の新型ハイブリッド車(HEV)「ノート」。先代から採用したシリーズ方式のHEV技術「e-POWER」が好評で、2世代目となるシステムでも基本構成を踏襲するものの、かなり熟成させたという。走ってみてとりわけ興味深かったのが、エンジンの存在感をとことん消していたことだ。初代e-POWERに乗ったときは走りに驚いたが、全体的に少し雑な感じが残っていた。新型車ではそんな“雑味”が消えていた。

e-POWERの構成
e-POWERの構成
写真は「キックス」のもの(出所:日産自動車)
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 e-POWERの基本構成は発電専用ガソリンエンジンで発電機を回して、リチウムイオン電池を充電し、その電力でモーターを駆動するシリーズHEV方式である。外部充電できるプラグイン方式ではないため、電池を充電するまでエンジンを高効率条件で定常的に発電する必要がある。

 エンジンは走りに直接関与しない「黒子」の存在にもかかわらず、頻繁に動作して「表舞台」に登場しがちだ。日産は新型ノートでエンジンを本当の意味で「黒子」にすることに力を注いだのだろう。

ロードノイズを活用して消えるエンジン音

 先代車のe-POWERでは、エンジン始動音が大きかった印象がある。今回の街乗りでは、通常加速時にエンジン音をほとんど感じることがなかった。走り出した瞬間に「おっ!」と思わずつぶやく出来栄えで、静粛性に優れる上にきびきびと滑らかな加速感と高い応答性を実現している。ドライバーの手足となり、意のままに動く一体感と安定感はすばらしい。まるでパワースーツをほうふつとさせる。

新型ノート
新型ノート
エンジン車はなく、e-POWER搭載車だけの思い切った車種構成(出所:日経クロステック)
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 仏Renault(ルノー)の「ルーテシア」と同様の高剛性プラットフォーム「CMF-B」を採用したことが大きく貢献したのだろう。加えて、サスペンション剛性を60%、ステアリング剛性を90%向上させていることも大きい。モーター駆動で応答性が高いことから、クルマの反応に遅れを感じない。4.9mの最小回転半径もうれしい。

 街乗りに最高なクルマで、とりわけ技術的にも注目したいのが静粛性である。エンジンの搭載方法や振動対策を工夫していることに加えて、ロードノイズでエンジンノイズを“隠す”世界初の制御を採用した。

 車輪速センサーで計測した回転角速度を基に、ロードノイズが大きいときにエンジンを始動して積極的に発電し、同ノイズが小さいときはエンジンをなるべく停止する、いわば「隠れ蓑(みの)制御」である。実際、市街地で走っているときにエンジンの存在をほとんど感じない。まさに「サイレントエンジン」だった。エンジン音にとどまらず、振動を感じることもほぼない。