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 デジタル革命への組織の再構築。これが第三のポイントです。総論賛成、各論死ぬほど反対。なぜこうした状況が起きるのか。人事制度も含めて今ほど重要な人的リソースを担保するコストが上がった時期はありません。

 プロパーとの戦いに屈しない人材を確保して、初めて始まる化学反応という進化。コンサルに判断を丸投げする担当者の怠慢。技術ドメインとビジネスドメインをマッチングさせる人材選定の重要性。プロジェクトマネジャー、プロダクトマネジャー、IoTプロデューサー、そういう職種が求められる時代になってきました。

 DXはコスト削減や働き方改革の要だけではなく、トップラインの拡大の必須条件になります。これが第四のポイントです。システム改革は労働生産性が向上しなければ意味がない。労働生産性イコール営業生産性です。例えばペーパーレスやAIの導入で契約のプロセスから摩擦をなくす。仕込み業務の削減や中間処理の自動化による労働ストレスの解消。「事業も料理も極めれば引き算」。ここも重要だと思っています。

 第五は世界の優秀なITパートナーとの連携です。国内のパートナーと手を組むだけではこれだけ劣後した状況からは抜け出せません。部分最適で作り込まれたレガシー。全体を俯瞰(ふかん)した状態で見られるベンダーは、私はいないと思っています。

 既にITパートナー選びに国境はありません。国際連携のためにも開発言語はJavaだけでなく、JavaScriptやnode.js、AIやIoTに強いPythonやGoといった言語を駆使するITパートナーとの連携が必要になっています。

 最後は国との連携の形です。これまでのレガシーシステムは役所のニーズに準拠して、フレームやロジックが構成されてきました。これからは法律の枠内で事業体や地域社会の多様化、変わり続ける個人のニーズにヒットすることが重要になってまいります。これからの基幹系システムは法律に準拠しつつ、市場の変化や地域社会の多様化に対応するため、機能を常に追加、改良し続ける必要があります。

 つまり永遠に完成しない時代に対応する開発環境が必要です。そのためにもシステム開発や維持管理のコストを単独で負担するのは、どんな会社をもってしても合理的ではないと私たちは思っています。だからこそシステムをオープンに開放して共有、分担、分業が重要になるということです。私たちは事業も料理も仕込み8割、極めれば引き算というふうに理解をして今、システムの開発に奔走しているところです。

日経BPが2019年7月に開催したIT関連イベント「IT Japan 2019」における基調講演を基に構成しました。